２４時間あいていて入場は無料の小さな動物園が舞台。山形県にあるこの動物園は、年老いたシカやクジャクが人気で、７０年以上にわたって親しまれてきた。動物の救護所を兼ねていて、ケガをして飛べなくなった鳥や交通事故にあったキツネなど、ケガや病気で保護されてきた動物たちもいる。毎日来て動物に話しかける人、傷つき保護された動物に自らを重ねる人など、いろんな人がここを訪れ、何かを思い、去っていく。

さいたま市に盆栽の聖地と呼ばれる場所がある。盆栽園が６つ集まる一帯、通称「大宮盆栽村」。初心者向けの千円ほどのものから、値段のつけられない樹齢数百年の逸品まで、ひとつとして同じ盆栽はない。人々は思い思いにはさみを入れ、枝ぶりを整えていく。桜の鉢を愛おしそうに抱く小学生。亡き義父から譲り受けた盆栽を育てる女性。若くして盆栽園主となった男性。みんな盆栽と向き合いながら、何を見つめているのだろう。

あっさりした豚骨スープに細い麺。ネギとチャーシューをのせて、とってもシンプル。今回の舞台は、長く地元で愛される、博多ラーメンのお店。値段は１杯２９０円。２４時間営業で、ひっきりなしに人が訪れる。工事の仕事を終えて明け方にやってくる人、スナックで働いていたという人、子どもの頃、家族で訪れた思い出の味だという人も。飾らない日常の１杯を求めて―。やってくる人々の声に３日間、耳を傾けた。

今回の舞台は東京、豊島区にある急な坂道“のぞき坂”。のぞき込まないと下が見えないほど急と言われてきた。この１本の坂道をさまざまな人が通っていく。終電まで働いていたという人、ここが通学路だという子ども、トレーニングをしている人もいる。新生活が始まる４月、桜舞う坂道を３日間、見つめてみた。

This work is a cooperation with the long-time collaborator, scriptwriter Chen Wan-Yin. 　　The work is about a scriptwriter and a performer having a conversation in an animal taxidermist’s studio. They attempt to come up with a performance, exploring the relationship between ‘gestures’ and ‘horrors’. 　　The conversation revolves around two events from Japanese Taiwan during World War II. One is the memorial ceremony held in a zoo to commemorate animals that died during military operations. Animals such as elephants and orangutans were trained to kneel as a symbolic posture for mourning. The other reference is the 1944 massive animal execution in the Taiwanese zoo, intended to prevent civilian casualties caused by animals after the US military had bombed the cities. The unfortunate animals were then turned into taxidermy to preserve their movements and postures. 　　In addition to the dialogue between the two characters, both the Taiwanese Zoo and the zoo's taxidermy studio were architecturally reconstructed using 3D scanning technology.

とろとろの豚肉やタケノコ、キクラゲなどが詰まった熱々の肉まん。仙台の歓楽街・国分町の街角にあるスタンド形式の肉まん店が舞台。早朝５時までの営業で、夜通しいろいろな人が訪れる。飲んだあとに立ち寄ったという職場の同僚仲間、２軒目の店への差し入れ用にと買い込む人、仕事を終えたクラブの黒服の男性や、スナックのママなどの姿も。冬の仙台に立ちのぼる湯気。寒空の下、肉まんをほおばるそれぞれの事情を見つめた。

熱々のそばにおでん。舞台は青森・五所川原市にあるプレハブのそば屋。営業は夜の数時間だけで、店内は狭く、立ち食い。でも不思議と多くの人が訪れる。帰省するたびに立ち寄るという親子。上京した娘のためにダブルワークを始めた母親。３代続くというりんご農家の姉妹。地元の津軽を離れた人たちも、ここのそばを懐かしんでやってくる。ふるさととは何なのか。帰省する人が増える大型連休のころ、小さなお店にカメラを据えた。

特大のブロック牛肉に、伊勢えびやタラコといった海産物もいっぱい。舞台は岩手県・西和賀町に１軒だけあるスーパー。ひと冬の降雪量が１０メートルを超えることもある豪雪地帯で、雪が降り続く中、多くの人がやってくる。食べ盛りの子を持つ大家族の女性や、地元レストランのシェフ、温泉旅館を営む男性、お隣・秋田県からという客も多い。まさに“地域の食料基地”とも言えるスーパーに、年の瀬の３日間、カメラを据えた。

今回の舞台は、ズラリと並んだメダルゲーム。埼玉県ふじみ野市のゲームセンターには、懐かしいものから、新しいゲームまでいろんなものがそろってる。どれだけ増えても、お金にも、景品にもかえられない。それでも、いろんな人がやってくる。明日からの仕事が嫌だなと思いながらゲームに夢中になる人、父親と遊んだ思い出のゲームに興じる人など。みんな何を思って、ゲームに没頭しているんだろう。３日間、密着した。

シリーズ大病院の第１弾！全国的にも珍しい病院内にあるケーキ店。病床数８７０以上の長崎大学病院。お店にはイチゴや桃のケーキが並び、外来や入院中の患者、付き添いの家族、働く医師や看護師などが訪れる。長年通院していて、毎回、家族のためにケーキを買って帰る女性。手術後の検診が終わり、お祝いがてらに買う親子。同僚のためにまとめ買いする医師。病院で迎えるクリスマス。みんなどんな事情でケーキを求めるのか。